「今日からトレーニングを始めて、もう一回プロ野球選手になろうと思います!」

 昨年11月13日、新庄は自身のインスタグラムで突然の現役復帰表明をした。

『あの人は今』的な番組で見かけることはあったが、これには日本中が驚かされた。11月27日には元所属の日本ハムが任意引退扱いだった新庄を自由契約選手として公示をおこない、ルール上現役復帰への障害もなくなった。(自由契約となることで、国内外含むどの球団とも契約可能となる)

 しかし、48歳での現役復帰は現実的ではない。球界内部からは冷静な意見も聞こえる。

「トレーニング中の画像を見たが、とても50歳手前の身体には見えない。現役時代に武器だった足や肩というフィジカルな部分は大丈夫かもしれない。日本一とも言われる外野守備も通用するだろう。しかし全体的な感覚の部分と年齢とともに確実に衰える視力はどうしようもない。話題性はあるかもしれないが、NPB球団の戦力としては厳しいだろう。新庄が活躍するようでは、他の選手は情けない」(阪神OB)

 NPBへの現役復帰ではなく、集客力などを期待した『客寄せパンダ』的な現役復帰なら可能ではという声はある。ロッテ、阪神で活躍した西岡剛が昨年、BCリーグ・栃木ゴールデンブレーブスでプレー。チームを優勝に導くとともに、集客など営業面で大きく貢献した例もある。

 だが長年にわたって新庄を追いかけているスポーツライターは、「新庄は本気だ」と語る。

「やる気になった時の行動力と集中力は誰にも負けない。ここまで大々的に復帰を発表したということは、本人が手応えを持っているということ。現役引退の時には『野球は飽きた』というようなことも語っていたが、もう1回、興味が湧いたんじゃないかな。メジャー挑戦の時も、ノリというか、目立ちたかったからという部分も大きい。その流れでメジャーで4番を打ったりして存在感を発揮した。今回もどうなるか、を周囲は期待している」

 メジャー挑戦は、数年前から周到な準備を重ねてきたイチローへの対抗心、いわゆるジェラシーもあったという。メジャー3年間で215安打20本塁打は成績としては並以下だろうが、日本人として初めてワールドシリーズに出場するなど強烈なインパクトを残した。何をやらかすのかわからないのが新庄の魅力である。

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新庄ブランドはいまだ絶大