このように、過去の事例から鑑みると相撲というスポーツの特性は、総合格闘技の世界ではなかなか転用できる技術が少ないように思われる。曙もK-1でのデビュー戦で、パワー抜群のサップをリングの端に追い込むなど、突進力は相当なものではあったが、“その先”がないのだ。これは最近MMAのリングに上がった把瑠都や大砂嵐にも当てはまる。
今年に入ってRIZINの2回目の大会になるはずだったRIZIN.22(4月19日開催予定)は新型コロナウイルスの影響で中止となった。だが、朝倉海と堀口の再戦、朝倉未来が中心となったフェザー級の戦いなど、ファンが「観たい!」と思えるレベルの高いカードも増えてきた印象だ。
その中で、相撲勢が“飛び道具的”な扱い以外で生き残っていくのは厳しいように思われる。しかし、日本の国技である相撲出身のファイターは注目が集まるだけに、強さを発揮する選手が出てくれば格闘技界は間違いなく盛り上がる。今後、相撲出身ファイターを新たに登場させるのであれば、体のサイズや見栄えではなく、総合格闘技に必要な能力や適応力を確認したうえで選手を呼ぶべきだろう。