行きたいところもある、まだまだ知り合いたい人もいる。だから前へと進む。先日はクイーンの日本ツアーに同行し、観光の案内役もした。

「予約の取れないレストランに電話して席を取ったり京都で舞妓さんのコスプレさせたり。あのね、あたし、あなたたちのパシリじゃないのね?って、わからせるのが大変だった(笑)」

 SNSも使いこなし、インスタグラムからは日々を生き生きと楽しく過ごしている様子が伝わる。そんな桃井さん、いまの若い世代をどうみているのだろう。

「いまの若い子、すごく大人っぽいと思いますよ。私たちの時代は気取ってるヤツか、ほんとのバカしかいなかったから(笑)。でもいまの子はバーチャルな経験はできてるけど、リアルな経験をしないで先に行こう行こうとしてるところがあぶない感じはする。だから何かにぶちあたったとき、弱いですよね。悩みがあるから、って聞くと『え? それですか?』って。『それぐらいのこと、かきあつめなきゃ、悩みになんないよ!』。

 ただ今回、阪本さんたちと仕事して、『ああ、日本の映画界、捨てたもんじゃないな』って思った。スタッフもすごく若いんだけど、日本の映画界のいいオトナのお行儀とかがちゃんと残っている。ああ、新しい風がちゃんと吹いてる、映画界には善良なる愛情が、ちゃんと流れているじゃないですか、って。だからね、あとは私自身。あと何をやらなきゃいけない? 何か落としているものがあるのなら、やっとかなきゃ、って。そんな感じですよ」

 まだまだ「たくらみ」は止まらない。

「樹木希林さんが亡くなったとき、ある人から言われたんです。『樹木さんもショーケンもみんな死んじゃって、もう“恐竜”、かおりしかいないじゃ~ん!』って。『そうかあ、私、恐竜だったのかあ』って(笑)。いい感じでしょ? 私が最後の恐竜になり得る感じがしてますよ」

(中村千晶)

■THIS WEEK
2月29日(土)
原田芳雄トリビュートライブがやはり延期に。ぼんやりしてたら、映画「一度も撃ってません」メンバーから「残念ごはん会」の誘いが。こんな日は何だかみんなの顔を見られるだけで嬉しかった。
3月1日(日)
CMのVTR撮り。
3月2日(月)~8日(日)
パリに発つはずがキャンセル(まあ今考えると行かなくって良かったが)。家にこもることを決め、20年断捨離してないクローゼットの整理にかかる。もう決して履かないだろうハイヒールの山! 呆れながらも、こんなものを抱えて生きていた自分が可哀想になった。
3月9日(月)
映画「一度も撃ってません」の取材と報告会。一日、馬鹿笑いして過ごした。
3月10日(火)
LAに戻る。ギリギリで入国OK、隔離要請もなかったが、自主的に2週間家から出ないことに。が、あと3日すれば外食できる!という矢先にロックダウンでレストランがクローズ。買い出しも人数制限で長い列。まるで映画。主婦としては全力で“うちご飯”に励む毎日です!!

週刊朝日  2020年5月1日号