昨年春の開幕延期騒動や「清武の乱」、さらに今季開幕直前には巨額契約金問題など、数多くの騒動を巻き起こしてきた読売巨人。これらの騒動について、プロ野球経営評論家の坂井保之氏が巨人会長である渡邉恒雄氏とコミッショナーの対応に苦言を呈する。
坂井氏は巨人の球界に残してきたチームの功績は認める一方、「ただし渡邉恒雄会長には問題が多すぎる」とし、「今季の開幕直前に浮上した巨額契約金問題です。あのときも、『チームを強くするために、行き過ぎがありました』と言えばいいものを、ナベツネ氏は『何が悪い』と豪語した。さらに清武元ゼネラルマネジャーが資料を盗み出したに違いない、と。盗っ人猛々しいとしか言いようがない」と指摘する。
しかし、渡邉会長と同様に問題なのが、コミッショナーだと言う。
「これらの事態の中で、コミッショナーの存在感がまるでない。『事態を静観する』の一点張り。しかも加藤良三コミッショナーもナベツネ氏の息がかかった人だから、開幕延期騒動では巨人寄りの発言までしていた」(坂井氏)
球界の憲法である野球協約では、組織に属するすべての者は、コミッショナーの下す裁定・指令に従わなければならない。にもかかわらず、先代の根来泰周氏も加藤氏も「私には権限がない」と繰り返すばかりだ。
「確かに協約には事細かに書いてないんです。『協約博士』と呼ばれた私が自信を持って言いますが、それはフェアプレーの精神で自主判断するという余白を残しているということなのです。だから騒動のブレーキ役になろうという気持ちがあれば、コミッショナー自身の判断で動くなり発言なりすればいいのです」(坂井氏)
加藤氏は今年6月で任期が切れ、交代する見込みだ。次はどんなコミッショナーになるのか、球界再建のためにも気になるところだ。
※週刊朝日 2012年5月18日号
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