金王朝の傍流だった金正恩、与正兄妹(C)朝日新聞社
金王朝の傍流だった金正恩、与正兄妹(C)朝日新聞社
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5月1日、北朝鮮の酸肥料工場の竣工式に参加し、テープカットを行った金正恩氏(C)朝日新聞社
5月1日、北朝鮮の酸肥料工場の竣工式に参加し、テープカットを行った金正恩氏(C)朝日新聞社

 「重体説」や「死亡説」が取り沙汰された金正恩・朝鮮労働党委員長が健在だったことが明らかになり、米国の情報収集能力に疑問符が付いた。

【写真】健在をアピールした金正恩氏

 北朝鮮メディアは5月2日、正恩氏は1日に北朝鮮西部の順川(スンチョン)で行われたリン酸肥料工場の竣工式に参加し、テープカットを行ったと報じた。4月11日の党中央委員会政治局会議の出席以降、20日ぶりに公の場に姿を現した。手にタバコを持ち、健在ぶりを誇示した格好だ。

 米CNNが4月21日(日本時間)に正恩氏の「重体説」を報じると、米国の首脳たちは思わせぶりな発言をくり返していた。トランプ大統領は「彼が無事であることを願っている」、ポンペオ国務長官は「彼の姿をとらえることができていない」などと発言。実はポンぺオ氏の発言通り、米国は執拗なまでに正恩氏の動向を探っていたのである。

 一方で、正恩氏の実妹、金与正・党中央委員会第1副部長の指導者クラスへの格上げを急いだ形跡もあり、謎は残されている。北朝鮮問題に詳しい韓国在住のジャーナリスト・裵淵弘(ベ・ヨンホン)氏に話を聞いた。

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 4月21日のCNN報道以降、在韓米軍は毎日のように特殊偵察機RC12Xを出動させた。目的はもちろん、正恩氏の健康状態を探るためだ。特に同27日から30日にかけては、1機どころか何機も飛ばすほど念の入れようだったというのだ。

「偵察機はDMZ(非武装地帯)に沿って西から東へ日本海に抜けるように飛行しました。時に日本海側に出て、海上軍事境界線のNLL(北方限界線)あたりまで飛び、そこまで行くと正恩氏が滞在していたとされる元山(ウォンサン)の傍受は可能です。ひっきりなしにRC12Xを飛ばしているものだから、なおさら正恩氏の健康状態に憶測を呼ぶことになったのです」

 同22日には、米軍は日本の航空自衛隊と日本海や沖縄周辺の上空で共同訓練を行っている。米軍三沢基地からF‐16戦闘機が参加したほか、米本土から「死の白鳥」と呼ばれる戦略爆撃機B‐1Bが飛来した。B‐1Bが朝鮮半島周辺を飛行するのは、2017年12月に実施された米韓合同軍事演習「ビジラント・エース」以来のことだ。同年11月、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「火星15」を発射したことを受けて、史上最大規模の軍事訓練となった。今回も北朝鮮に対し、軍事的圧力をかけている。

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不可解な北朝鮮の動き