「我々としては日本の商社がきちんと品質管理を行って輸入したものしか販売しません。多分、他の全国展開しているドラッグストアやスーパーも同じだと思いますよ」

 3月末、中国から欧州に輸出されたマスクなどに多数の不良品が見つかり、返品騒動が起きたのは記憶に新しい。別のドラッグストアの店長は、
「安心できるのは、『JHPIA 全国マスク工業会』のマーク入りが目印。もうマスクバブルは崩壊しています。これからはお客様も品質重視になっていくと思います」。

 そうなると、気になるのが4月7日に閣議決定され、同17日から配布がスタートした総予算466億円のアベノマスクだ。「1世帯あたり2枚限定」「不良品混入」「発注経緯の不明朗さ」などマイナス点ばかりが話題になり、評判はすこぶる悪い。

 しかも厚生労働省経済課(マスク等物資対策班)に問い合わせたところ、「5月6日現在、配布されたのは560万枚・280万世帯」とのこと。つまり配布開始から3週間経つというのに、当初予定の全国6500万世帯のわずか4・3%にしか配布されていないことになる。

 閣議決定の時点では5月中旬に、全世帯に配布されるはずだったのでは?

「先行した妊婦さん向けマスクの不良品回収などがあったため、予定から大幅に遅れています。5月中旬完了は無理だと思いますが、鋭意、配布作業を行っているとしか申し上げられません」と担当者も歯切れが悪い。

 9日に改めて厚労省のHPを見ると、配布が始まっているのは東京都のみ。しかも都内は約702万世帯あるので、ようやく3分の1を超えたところ。第2波に襲われて引き続き「特定警戒地域」に位置付けられた北海道や神奈川県など12の道府県が11日から配布開始とされているが、ほかは未定だ。

「苦情は多いです。しかし中止の予定はありません」(担当者)

 5月6日、安倍晋三首相は、京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授と出演した特別番組で、アベノマスク配布開始によって、流通するマスクの「価格が下がったという成果もある」と胸を張った。

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「安倍首相は実態を知らないだけ」