前出のNさんによると、3月上旬から中旬にかけて中国の複数のメーカーなどから直接、取引の打診が増えてきたそうだ。
「当初の価格は1個当たりにして関税と物流コスト込みで2千~2500円前後で発注し、それに500円乗せて卸していました。それが3月末には1500円前後になり、今は千円前後での発注ですね」(Nさん)
4月に入って中国での新型コロナの感染はピークを越え、マスク需要は急減した。しかし、工場の生産ラインはフル稼働中なのでマスクの在庫は増える一方。それでますます安くなってきているという。
「今では、都内なら大久保のほか、上野のアメ横、池袋北口、新橋、近郊では埼玉県川口市の西川口、神奈川県なら横浜市の伊勢佐木町、横浜中華街でも山積みされています」(Nさん)
特に、大久保、アメ横、西川口、伊勢佐木町が4大マスクスポットで、「大久保、アメ横がほぼ横並びの最低価格」(同)とのこと。
5月6日に再度、大久保に行ってみた。前出の韓流ショップは、2日前からさらにプライスダウンして2600円に。一方、イスラム通りの店は2200円になり、バルク売りの方はなんと1800円になっていた。
次いでアメ横へ足を延ばした。JR上野駅から「アメヤ横丁」の看板の下を通ってガード沿いに御徒町駅方向へ歩く。例年なら、国内外からの買い物客や観光客でごった返しているが、人影はまばらだ。数少ない営業中の店舗のいくつかの軒先にはマスクが積み上げられていた。
まず50枚入り3千円で販売していたカバン店。大久保で2千円台前半の価格を知っているだけに割高に感じるが……。
「当店のマスクは空気中の花粉、ホコリ、くしゃみの飛沫(ひまつ)などの粒子を99%カットする優れものなんです。厚みが違いますよ。どうぞサンプルをお触りください」と店主。
勧められるまま手に取ると、微妙ではあるが大久保の2200円のマスクより確かに厚いような気がした。