同店がマスクを扱い始めたのは連休の直前で、「主力のカバンや財布が売れないので、せめて家賃代を稼ごうと取り寄せた」という。

「正直、思っていたより売れません。かといって仕入れ原価が高いので値下げはしにくいんです。状況は厳しいけど、品質の良さで差別化していくしかないですね」(店主)

 2千円台後半で販売している店が何軒かあるなか、2480円で売っている店を見つけた。1人で販売していたのは来日10年目と言う中国人女性だ。

「午前中まで2800円だったんですよ。さっき大幅値下げしたばかりで、何個でもお買い求めいただけます」

 同店はインバウンド相手のドラッグストアとして、3月にオープン予定だったが、新型コロナの影響でインバウンドどころか日本人の客まで激減。やむなく内装工事をしないまま、4月中旬からマスクとアルコール消毒液を販売しているという。

「もう値下げしないと売れません。明日の値段? それはお答えできないです(笑)」

 2時間ほどかけて上野駅と御徒町駅を往復したが、見た限りでは同店が5月6日時点での最安値だった。次いで安かったのは化粧品販売のA店で、10円違いの2490円。

「GW前は3千円台だったんですが、もうあちこちで売ってますから値下げするしかない。投げ売りに近いですね」(A店のスタッフ)

 様々な店舗のマスクを見ていて、ふと思った。大手ドラッグストアでは箱売りをしていない?――。アメ横にある2店舗に聞くと、それぞれ店長からこんな答えが返ってきた。

「今、出回っている中国製マスクは安全性が担保されていないので扱わない、というのが主な理由です。中国では新型コロナの蔓延(まんえん)で今年に入ってから急きょ、生産ラインを立ち上げた“にわかメーカー”が増え、それらの製品が今、日本に押し寄せてきているんです」

 つまり、「粗悪品」の可能性もあるわけだ。店長が続ける。

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アベノマスクの配布はいまだ東京都の一部だけ