記者会見する小池百合子・東京都知事((c)朝日新聞社)
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知事出身ランキング(出身大学は中退を含む)
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 新型コロナウイルス感染症問題で、都道府県知事が政府よりも存在感を示している。

 東京都の小池百合子知事は、東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まってすぐ、感染症対策の警戒モードをいっきに強めた。政府に先んじて飲食店などに営業の自粛を強く求めてきた。小池は兵庫県の甲南女子高校、関西学院大の出身。

 北海道の鈴木直道知事も対応が早かった。政府による小中高校一斉休校要請よりもひと足早く、道内全公立小中学校の休校措置をとった。のちに独自の「緊急事態宣言」で外出自粛を求めている。鈴木は埼玉県立三郷高校、法政大の出身で、2019年、知事になったばかりだ。

 同じく19年には吉村洋文大阪府知事が誕生している。吉村知事も政府の一斉休校要請以前に「感染者2校以上確認で全府立学校を14日間休校」との方針を打ち出した。連日、テレビに出演し近況報告、政策提言を繰り返す。表情はかなりやつれたように見えることで、ツイッター上に「吉村寝ろ」の言葉が登場し、それがトレンド入りするほどになった。吉村は大阪府立生野高校、九州大の出身で、大阪市長からの転身だ。

 全国で唯一感染者を出していない岩手県(5月11日時点)の知事を務めるのは達増拓也である。地元の県立盛岡第一高校から東京大に進み、外務省に勤めていた。新型コロナウイルスの世界の感染状況をまとめている米ジョンズ・ホプキンス大学に留学経験がある。コロナ問題にも早くから対策に取り組んでおり、県外に暮らす岩手出身の学生に、達増知事はこう呼びかける。

「県では、皆さんが将来を考えるに当たって、ふるさと岩手での就職も視野に検討していただけるよう、WEBでの企業説明会を予定しているほか、日本学生支援機構の奨学金を受けて大学等で学んでいる学生の皆さんが、卒業後、岩手県内の企業に就職した場合に奨学金の返還を支援する制度を設けるなど、皆さんの未来を応援しています」(岩手県ウェブサイト、4月28日)

 東京都が休業要請に応じた事業者に50万円か100万円支給するとした「協力金」について、神奈川県の黒岩祐治知事は「ない袖は振れない」と話し、「国に対し、休業補償と休業要請はセットで考えないと駄目だと言っていた」と強調した(朝日新聞デジタル、4月12日)。一方、大型連休中にスマホなど携帯電話に大音響を鳴り響かせた「緊急速報メール」で外出自粛要請のメッセージを出し、のちに「驚かせて申し訳ありません」と陳謝する一幕もあった。

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