最後に取り上げたいのはやはり西武の山賊打線だ。特に2018年はリーグダントツの792打点を叩き出し、ソフトバンクを振り切ってリーグ優勝を果たしている。

1番:秋山翔吾 195安打24本塁打82打点15盗塁 打率.323
2番:源田壮亮 165安打4本塁打57打点34盗塁 打率.278
3番:浅村栄斗 175安打32本塁打127打点4盗塁 打率.310
4番:山川穂高 152安打47本塁打124打点0盗塁 打率.281
5番:森友哉 130安打16本塁打80打点7盗塁 打率.275
6番:外崎修汰 130安打18本塁打67打点25盗塁 打率.287
7番:中村剛也 94安打28本塁打74打点1盗塁 打率.265
8番:栗山巧 78安打8本塁打52打点1盗塁 打率.256
9番:金子侑司 69安打1本塁打34打点32盗塁 打率.223

 長打力とスピードを兼ね備えた秋山と器用で何でもできる源田の1、2番コンビでチャンスを作り、浅村、山川の長距離砲二人が返すというパターンが出来上がっていたのが大きな強み。源田は守備がクローズアップされることが多いが、チャンスを広げられる存在としてこれほど頼もしい2番打者はなかなかいないだろう。

 浅村と山川が120以上の打点をマークしたのも、源田の貢献度が大きかった。5番以降も森、外崎、中村と長打力のある打者が並んだ。下位打線のキーマンは外崎。入団当初はスピードが目立つ選手だったが、年々長打力がアップして、クリーンアップも任せられるほどになった。栗山の勝負強さも健在で、金子も打率は低いものの32盗塁をマークして上位打線に繋ぐ役割を担った。長打力と機動力を兼ね備えた見事な布陣と言えるだろう。

 全部で四つのチームを紹介したが、一つを選ぶとなればやはり2003年のダイエーになるだろう。井口、松中、城島、柴原とチームを背負って立つことを期待されて入団した生え抜きの選手が見事に花開いたという意味でも特筆すべきものがある。リーグの縛りをなしにしても、この打線が史上ナンバーワンと言えるのではないだろうか。今後もこの打線を超えるような最強打線が出現することを期待したい。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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