5年ぶり1部昇格、明治との定期戦で51年ぶりに勝利。立教ラグビー部にとって昨年は大きな飛躍を遂げた年でした。その原動力には組織論「識学」がありました。あいまいさ、なあなあ、無礼講。それら日本的な考え方を許さない組織論とは。
まず、関東の大学ラグビーについて少し説明させてください。
対抗戦とリーグ戦があります。対抗戦には、1部にあたるAグループと2部にあたるBグループがあります。それぞれ8チームが所属しています。
Aグループには早稲田、明治、慶応、帝京といった強豪校が、ずら~り。秋に総当たり戦を行い、7位と8位は、Bの1位と2位との入れ替え戦をします。
昨年12月、埼玉県熊谷市にある熊谷ラグビー場で、Aの8位だった成蹊とBの1位だった立教がぶつかりました。Bグループで圧勝してきた立教は後半、最後のプレーで逆転、23‐21で5年ぶりのAへの昇格となりました。
立教は同年6月、明治との定期戦で51年ぶりに勝利するなど強くなっています。そして、ここが識学を取り入れているのです。
3月下旬のお昼すぎ、埼玉県富士見市にある立教のグラウンドを訪ねました。ラグビー部の部員20人ほどが、パスの練習をしていました。
横に4人並んで走りだしました。ボールをパス、パス、パス。4人の横に控えたマネジャーが言います。
「45、50、37」
「52、40、39」
スピードガンで速さを測っているのです。
速いパスを出せと言われても、速いってどのくらいか、あいまいでわかりません。そこで今年、こうしました。
時速45キロがスタンダード(標準)、45キロに届かないパスは遅い、とみなし、50キロを目指す。
この仕組みを考えたヘッドコーチは……、
西田創(つくる)さん、37歳。
西田さんは2002年、高校ラグビーの名門、東福岡高から立教へ。その年、BからAに昇格する立役者となりました。ただ、Aでは1勝できるかどうか。立教は15年、成蹊との入れ替え戦で敗れてBに降格。翌16年からの3年間、入れ替え戦で成蹊に昇格を阻まれてきました。