北海道ではスキー客などに着目したジョイフルトレインが誕生(1985年)。嚆矢となったのが「アルファコンチネンタルエクスプレス」で、急行形とも呼ばれたキハ56系気動車を高級感溢れる内外装に改造、3両編成の両端は展望タイプとするなど、斬新なデザインが話題となった。
■各地に地域色を打ち出した列車が続々と誕生
そんななかブームとなっていったのがお座敷車両で、1980年に熊本に投入された和風客車「海編成」を皮切りに「白樺」(1983年・長野)、「江戸」(1985年・東京)などが続々登場したが、とりわけユニークだったのは1986年に大阪に投入された「みやび」だろう。国鉄のお座敷車両で初となる掘り炬燵が導入されたほか、車内に玉砂利を敷き灯籠や竹垣などを配した日本庭園を持つなど和風の意匠をとことんまで追求した傑作であった。しかし、同じ年の12月28日、山陰本線の余部(あまるべ)橋梁上から強風にあおられ転落、わずか9カ月という短い一生を終えてしまった。
観光列車は地域性を生かす方向でも進化した。1990年に五能線に現われた「ノスタルジックビュートレイン」は定期列車にレトロ調の展望車両(普通車指定席)を連結する形で運行され、1997年からはその役目を「リゾートしらかみ」へと譲った。また、1984年には予土線に「清流しまんと号」がデビュー、その後のトロッコ列車の嚆矢となった。
一方、青函トンネル開業を機に上野~札幌間に登場した寝台特急「北斗星」は、室内にシャワールームなどを持つ豪華個室寝台「ロイヤル」や予約制ディナーなどが楽しめる食堂車「グランシャリオ」など新しいタイプの長距離列車として一大ブームを席巻。大阪~札幌間には編成端を占有する個室寝台「スイート」など斬新な意匠を取り入れた「トワイライトエクスプレス」がデビューし、寝台列車のグレードアップがトレンドとなった。こうした寝台列車も観光列車の仲間と捉えることもでき、その後の「ななつ星in九州」などに引き継がれたといえるだろう