今春は花粉の飛散が多くなりそうだ。東京都は前年に比べて2~3倍と予測、環境省も関東や北陸、近畿や中国などで極めて多くなるとしている。早めに入念な対策をしたい。
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「目がしょぼしょぼして、もう花粉を感じています」
東京で花粉症の患者を診察する蓮池林太郎・新宿駅前クリニック院長はこう話し、自らが花粉症だという。
東京都は今春の花粉飛散数を都内平均で前年に比べ2.3~3.1倍、過去10年平均と比べ1.9~2.6倍になると予測する。
これは都の花粉症対策検討委員会が1月下旬に公表した検討結果で、スギとヒノキの合計値の花粉飛散数の予測。スギとヒノキで花粉の飛ぶ時期はずれるが、都の担当者によると、スギとヒノキの内訳は公表していない。
都の予測によると、都内の地域ごとにばらつきがあり、区部よりも、多摩地域でより花粉が多く飛びそうだ。過去10年の結果と比較すると、もっとも多かった2018年の水準と同程度になるとみている。18年はスギ花粉も多かったが、ヒノキ花粉が例年と比べ極めて多く飛んだのが特徴だ。
環境省も昨年末、今春のスギ花粉の飛散数が関東や北陸、近畿、中国地方などで「極めて多くなる見込み」と発表している。昨年のスギ雄花の調査で、平米あたりの花芽数を双眼鏡で観察すると、過去10年間の最大値を超えたのが、これらの地域で相次いだ。春に飛散するスギ花粉は前年の雄花の着花量に大きく依存するという。
環境省によるスギの花芽数の調査結果は、前年に比べ、茨城2.4倍、群馬4.4倍、神奈川2.6倍、京都6.4倍、奈良4.5倍、鳥取と島根がそれぞれ17倍と21倍などとなった。東京のスギの花芽数は前年比で1.3倍、過去10年平均と比べ1.5倍だった。
環境省は、関東でヒノキの雄花も極めて多いと報告されていると指摘している。ヒノキ花粉の飛散はスギより1カ月ほど遅く、花粉の飛散期間が長くなる可能性があるという。