「慢性腎臓病の人がなぜ重症化しやすいかは現時点では明らかになっていません。一方、健康な人がコロナウイルスに感染した場合でも、腎臓が悪くなり、急性腎不全を高率で発症することが明らかになっています。軽度や中等度の慢性腎臓病の患者さんも含め、すべての人が感染予防を心がける必要があります」(南学医師)

 慢性腎臓病のある人はどのようなことに注意すればいいのだろうか。

「流行が落ち着くまではとにかく外出を控えることです。慢性疾患の場合、感染源と接する機会を少なくするため、長期処方によって受診間隔を空けるように努めることが原則です」(同)

 発熱などの症状があった場合はかかりつけ医に連絡をする。コロナ感染が疑われた場合のその後の流れは一般の患者と同じだ。

 血液透析の患者は流行期でも透析施設に通わなければ命の危険がある。とはいえ、透析を受けるために2日おきに通院しなければならないので、感染のリスクが常にある。

「施設での集団感染が起きないようにスタッフは対策マニュアルを作成して感染予防に取り組んでいます。患者さんにも体温測定やマスクの着用、患者さん同士の近距離の会話を控えるなどをお願いすることがあります」(同)

 日本透析医会・日本透析医学会の発表(5月8日付)では透析患者における新型コロナウイルスの感染者数は累計で76人、死亡率は11.8%(9/76人)となっている。

「医療崩壊してしまったスペインでは透析患者の死亡率は約25%と高いのです。このような事態は絶対に避けなければいけません」(同)

 関連する学会では蔓延期には感染の疑いのある患者や入院ができない患者に対し、透析施設で対応するよう指針を出している。(アエラムック編集部・濱田ももこ、白石圭、ライター・狩生聖子)

週刊朝日  2020年5月29日号

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