林:まあ。
黒柳:そんなのいやだと思って、退院するとき先生に「死ぬまで病気したくないんですけど、どうすればいいですか」とうかがったら、「ひとつしかないけど、できないでしょうな」と。「やりますから」と言ったら、「好きなことだけやって生きていきなさい。自分からすすんでやる仕事をしていれば、疲れは肉体の疲れだけで、寝ればなおる。いやだと思って仕事をしてると、胸に残って積み重なって、それが原因で病気になっていく」とおっしゃったの。
林:ストレスですね。
黒柳:当時、そういう言葉、ありませんでしたからね。それで、これからは自分がすすんでやる仕事だけをすると決心したんです。それといちおう結婚していないし、子供を産んでいないということもありますよ。
林:ストレスないですよね。
黒柳:世の中を見ていると、芝居が大変だの、何が大変だのといったって、旦那さまと子供と一緒に暮らしていくストレスに比べたら……。
林:同感です(笑)。おうちに帰って一人でくつろぐとき、何してらっしゃるんですか。
黒柳:事務所からショッピングバッグに山のような宿題が来ますから、それを全部整理して、自分で返事を書くものは書いて、終わると、夜中の2時半やそこらになります。お風呂に入って、コアリズムとヒンズースクワットやって、顔のマッサージもやって、きょう一日のニュースの録画を見て、自分が見たいビデオをちょっと見て、「さあ寝るぞ!」と思って電気消した瞬間、もう寝てます。
林:寝つきがすごくいい。「おひとりさま」の究極の理想型ですよね。
黒柳:私、もう55年もテレビに出てるんですけど、この前も、「疲れるってどういうの?」って人に聞いたら、「口ききたくない」って言われちゃった(笑)。
林:すごいです。
※週刊朝日 2020年5月29日号