4月7日に発令された緊急事態宣言が続々と解除されている。宣言はそもそも必要だったのか。検証が不可欠だ。来たるべき第2波に備え、AERA 2020年6月1日号では専門家に意見を求めた。
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緊急事態宣言が続く残り5都道県について政府は、25日に再度解除の是非を判断するとしている。神奈川県と北海道で基準をやや上回る感染者が出ているが、感染の中心地だった東京都は21日現在で基準を下回った。宣言が解除された地域では少しずつ街に人出が戻ってきている。第2波の到来も懸念され、新型コロナウイルスへの対応が終わるわけではないが、4月7日に7都府県に発出され、16日に全国へと広がった「緊急事態」はようやくいったんの終わりが見えてきたと言える。
その経済的影響はあまりにも大きい。東証1部上場のレナウンが倒産するなど倒産は増加傾向にあり、帝国データバンクは今年の倒産件数が7年ぶりに1万件を超すとの見通しを示す。厚生労働省によると、新型コロナ関連の解雇や雇い止めは5月20日時点で9569人に上るという。緊急事態宣言期間で69.9万人が失業するとの試算もある。
宣言は本当に正しかったのか。第2波に備えるためにも検証は欠かせないだろう。
東京医科大学の濱田篤郎教授(渡航医学)は、感染爆発を食い止めるうえで宣言の効果は大きかったと評価する。
「まさにギリギリのタイミングだったと思います。宣言が出たことで多くの市民が外出自粛に協力した。解除の時期が適切だったかはもう少し先にならないとはっきりしませんが、目標を達成しつつあると思います」
一方、京都大学大学院経済学研究科の依田高典教授(行動経済学)は一定の効果があったとしながらも結果的に二つの問題があったと指摘する。
一つめは発出が10日程度遅かったこと。全国で確認された1日あたりの感染者数は4月11日の714人がピークだった。感染してから検査で確定されるまで最大2週間程度かかることを考慮すると、4月にはすでにピークアウトしていたという見方もできる。依田教授自身、早い段階から3月28日には宣言を出すべきだったと指摘してきた。