■ネット通販で売れ筋「次亜塩素酸水」は“疑似”も?

 消毒用アルコール液が品薄になると、通販サイトの売れ筋ランキングでよく見られるようになったのが、「次亜塩素酸水」という商品だ。塩酸または、食塩水を電気分解してつくる。

 注目されている理由の一つは、現在、NITEの「新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価」で、優先的に検証試験を進めているからだろう。インフルエンザウイルスを使った検証試験の結果から、コロナウイルスについても消毒効果が得られる可能性があるという。

 ただ、この試験の対象となっているのは、食品添加物として指定されているもの。通販サイトなどで「次亜塩素酸水」として、スプレーやボトル入りなどで販売されている商品は、玉石混交のようなのだ。機能水研究振興財団は4月の時点で、食品添加物として指定されたもの以外も多く、「野放し状態」だと指摘している。

 本来「次亜塩素酸水」は、食品添加物殺菌料として指定されたものを指す。電気分解を行う専用の装置でつくられる溶液で、成分の濃度規定もあり、食品工場などで使われている。ところが、巷にあふれる商品の中には、「次亜塩素酸ナトリウム」に「クエン酸」や「塩酸」を混ぜてつくった水溶液をあらかじめ容器に入れたものなどの、いわば“疑似次亜塩素酸水”もあるという。

 同財団は「似て非なるもの」「食品添加物として認められていません」といった見解を4月に発表している。

「NITEで新型コロナの消毒にも効果がある可能性があるとして検証の対象となっているのは、生成装置をつかって電気分解したもの。つまり、食品添加物としての次亜塩素酸水です」(NITE担当者)

 ただ、食品添加物以外のさまざまな商品が市場に出回っているという実態を踏まえて、効果を検証すべきではないかという議論はあるそうだ。

「専用の装置でつくったもの以外で、有効塩素濃度が高いならばそれだけ効果があるとも考えられるので検証してはどうか、という議論もあるワケです。各社各様の試験に基づき、『抗菌』『消臭』などとうたっていますが、それがどれだけ新型コロナウイルスに効果があるか、現状でははっきりしていない。だから、そこはちゃんとみましょうということですね」(同)

 繰り返しになるが、もちろんそれらは食品添加物ではない。NITEもあくまで雑貨としての扱いで新型コロナに対しての有効性を今後、検証することになるという。 
 

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成分だけではわからない。商品としての安全性や効果