■空間除菌の「二酸化塩素」はコロナ対策では確認なし
冒頭に登場した携帯型の空間除菌用品は、二酸化塩素を利用したもの。国民生活センターによると、成分を含んだ水溶液も除菌剤として販売されているが、新型コロナウイルス対策としての有効性は確認されていないという。
「二酸化塩素は、ウイルスではないですが細菌には効果があります。簡単にいうと、その酸化力で殺すのです」(同センター担当者)
ならば、冒頭の空間除菌用品は、なぜ効果がないと判断されたのだろう。
「二酸化塩素はイオンの状態で空気中に放散されます。それが菌とぶつかれば効果があるでしょう。ただ、首から下げて体回りを除菌できるかというと、当然、風など気流の影響を受けますね。データは密閉した空間での実験結果なので疑問符がついたというわけです」(同)
素人の考えでは、放散される量が多ければ(濃度が高ければ)、効果が得られそうだが、そう簡単ではないらしい。過去には、皮膚への刺激が強く、安全性に問題のある商品もあった。つまり、量が少ないと期待した効果が得られず、多いと身体にも「毒」になってしまう可能性があるのだ。
われわれはつい成分に注目しがちだが、いくら成分が有効でも、商品として効果があるとは限らないことにも注意したい。
短期間で世界中に感染が広がった新型コロナウイルス。ウイルスとの闘いは、現時点で有効な方法を地道に続けていくほかないようだ。
(AERAdot.編集部/鎌田倫子)
※独立行政法人 製品評価技術基盤機構 界面活性剤が含まれている製品リスト(随時更新)https://www.nite.go.jp/information/osirasedetergentlist.html