「SHOCK」は、ブロードウェーを目指す若者たちが切磋琢磨し、ときにはぶつかりながら成長していく物語だ。堂本さん演じる主人公のコウイチは「ショー・マスト・ゴー・オン(何があってもショーは続けなければならない)」を信条にカンパニーをまとめている。圧倒的なスター性を持ち、最高のエンターテインメントを作るため、ストイック過ぎるほど真っ直ぐに舞台に向き合う。その姿は、堂本さん自身にも重なるものがある。

 2000年の初演時、堂本さんは21歳。帝国劇場の当時最年少座長だった。伝統のある帝劇で若いアイドルが主演を務めることに批判の声もあったが、「黙らせてやる」という気持ちで挑んだと本誌のインタビューで語っている(20年2月10日号)。

 座長として前に立ち、決断しなければならないときもあった。帝劇開場100周年となった11年の3月11日、昼の部の幕間に東日本大震災が発生。28公演が中止となった。

 15年には舞台装置が倒れ、出演者やスタッフら6人がけがを負う事故もあった。だが翌日には公演を再開。堂本さんは公演の冒頭で「あってはならない事故が起きてしまった」と述べ、「幕を開けることで批判を受けるかもしれないとも思いましたが、起きたことをしっかり受け止め、また一歩を踏み出すことも大切と思い、幕を開くことにしました」と語った。

 舞台は生ものであり、何が起きるかわからない。だがこの20年、堂本さん自身の事情で公演が中止になったことは一度もない。高さ4.8メートルの大階段を転落する「階段落ち」、命綱をつけず腕の力だけで体を支える「フライング」、舞台上で入り乱れる激しい殺陣やダンス。これを約2カ月間、ときには1日2回公演で続ける。

 05年以降は演出・脚本・音楽などのステージ面の指揮をジャニーさんに委ねられ、本質的なストーリーはそのまま、演出を進化させてきた。前出の萩尾さんはこう語る。

「初演から観続けていますが、キャラクターを明確化するためにミュージカルナンバーやコーラスを増やしたり、舞台上のポジショニングを変えたりするなど、毎年何かしらの進化が見られる。堂本さんがいろいろなものを見て聞いて吸収し、勉強してきたことがわかる。18年に『ナイツ・テイル─騎士物語─』で演出家のジョン・ケアードと仕事をしたことも大きいのでしょう。20年間、毎年即日完売する公演のカンパニーを引っ張っていくのは並大抵のことではない」

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