現在放送中のNHK連続テレビ小説「エール」が、6月29日から一時、放送を休止する。新型コロナウイルスの感染拡大の防止で、撮影を見合わせているためだ。この影響で、2020年度後期のドラマも調整せざるを得ないという異常な事態となっている。60年近くにおよぶ朝ドラの歴史上、初めてのことだ。
「放送休止のしわ寄せが次作に来るかもしれません」
そう話すのは、朝ドラ評論家の田幸和歌子さん。
朝ドラは、今回から4K放送対応となり、編集の作業が変化した。それに加え、働き方改革の影響もあり、放送はこれまでの月~土の週6回から、月~金の5回と短くなっている。
「そこからさらに短縮してコンパクトなものになってしまうと、せっかく練り込まれた作品なのでもったいない気がします。ただ、撮影が再開しても、現場対応はいろいろと大変です」
大人数が集まったり、出演者が密着、密接したりする場面は撮りづらくなるからだ。
「エール」は、窪田正孝の主演で、作曲家・古関裕而の人生を描いている。後期は、戦前から松竹で活躍した女優・浪花千栄子をモデルにした「おちょやん」(主演・杉咲花)。「エール」の放送休止にともない、「おちょやん」も11月以降の開始にずれ込みそうだ。