メディア文化評論家の碓井広義さんは、こう話す。
「『エール』も『おちょやん』も実在の人物がモデルであるため、話数の調整はしやすいのでは。実際に起こったことをベースに描いていくわけですから、始まり方と終わり方はある程度決まっています。その分、途中でのコントロールのしやすさはあります。逆に、架空のエピソードを足していくほうが難しい」
仮に「おちょやん」が年度末に終了せずに、次々作も5月以降にずれ込む可能性もある。前出の田幸さんは、
「思い切って『おちょやん』を春スタートにまでずれ込ませ、その間、しっかり作ってあげたほうがいいのでは」
と話す。碓井さんは、
「朝ドラは、日々の時計代わりであるとともに、特に春スタートの作品は、季節、年度のスタートに合わせた、暮らしのリズムとも一致している側面もあります。しかし、今回学校の9月スタートも検討されているように、コロナによって社会のリズムも大きく変わる可能性がある。その影響はテレビ界にも出てくるかもしれません」
まずは、「エール」が再開しないことには始まらない話ではあるが……。(本誌・太田サトル)
※週刊朝日 2020年6月5日号