類まれなる体躯と、高校時代に女子サッカー部で鍛えた運動神経を生かし、ボクサーとタレントの二足のわらじを履くお笑いコンビ「南海キャンディーズ」の"しずちゃん"こと山崎静代(33)は目下、夢のロンドン五輪に向けて正念場を迎えている。

 2月の全日本女子選手権で優勝し、「ミドル級国内最強」のボクサーになったものの、3月の女子アジア選手権(モンゴル)では、1回戦で17歳年下の韓国人ボクサーに敗北。それも、1ラウンドで一方的な展開となり、レフェリーが途中で試合を止めるレフェリーストップコンテスト(RSC)での惨敗だった。

 彼女にとっての五輪出場のラストチャンスは、5月に中国で開かれる世界選手権でベスト8に入ることだが、「惨敗したアジア選手権の相手は、もともと下の階級で、ミドル級に上げてから一度も勝利がない選手。身長も10センチ以上小さかった。こんな相手にボコボコですから、世界選手権に出てくる強豪たちとは、大人と子供の実力差があるといっていい」(スポーツ記者)

 そんな状況の中、しずちゃんの脳に「影」があることが発覚した。

 日本ボクシングコミッション(JBC)が指定する病院の医師は、本誌の取材にこう明かした。

「確かに、彼女はプロになりたいという理由で2年前、うちの病院に検査に来ました。本人には痛みなどの自覚症状はありませんでしたが、頭部のCTスキャンの結果、脳に水がたまった薄い影が見られたのです。うちの病院はさらに精密なMRI検査をする設備がないため、別の病院でMRI検査をするように彼女に伝えました」

 プロボクサーになるためには、JBCが定めた医療機関で頭部や血液などの検査を行い、異常がないことを確認しなければライセンスは発行されない。プロの検査に長年携わるベテラン医師たちだけに、検査は厳しい。ライセンス取得後も、試合後の検査などで健康に異常が見つかれば、引退勧告を受ける場合もある。

 アマチュアでも当然、健康管理の規定はあり、毎年4月に、すべての選手に脳のMRIや血液などの検診が義務付けられ、問題がないか診断を受けなければならない。大会に出る際には、その診断結果を提出する。しずちゃんが来月挑む世界選手権では、過去1年以内の診断書の提出が必要とされている。

 しかし、ボクシング関係者はこう言うのだ。「結局、別の病院で受けたMRI検査でも、脳に影が確認されました。その後もしずちゃんは『頭が痛い』と行っては、検査に行ってましたね。ただ、その後の検査では、MRIの画像から『影』が消えていったようです」

 ぜひともいま一度、詳細な検査を受けた上で、世界選手権に出るかどうかを決めてほしい。

※週刊朝日 2012年4月20日号