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42歳での電撃結婚。そして伝説の高齢出産から2年。母として、女優として、ますますパワーアップした水野美紀さんの連載「子育て女優の繁忙記『続・余力ゼロで生きてます』」。今回は、アフターコロナの世界に思うこと。
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人生にはいろんな事が起きるなあ……。
コロナとかいう未知のウイルスによって、どうやら我々の日常はこの先、永久に変わってしまいそうだ。
変化はあまりにも急に、グイッと、ヘアピンカーブで来た。
商売をやっている多くの人は、突然に客足を絶たれて、大変な思いをされていることだろうな。
私の友人にも対策に追われている人はたくさんいる。私も夫も、多数仕事がキャンセルになったり延期になった。仕事を変えざるを得ない人もたくさんいるんだろう。
以前「ファミリーヒストリー」という番組に出演したときに、母方の先祖の人生を辿る取材をして頂いた。
母方の先祖たちはみんな商売人で、北海道の田舎で商売を始めて、軌道に乗ったところで時代の変化の波に飲まれて店をたたみ、また新たな商売を始める、ということを繰り返していた。
時代の変化のスピードは早い。ニーズの変化も早い。
なんとなく、パン屋さんになった人はずーっとパン屋さんを続けるものだと子供の頃から思っていたので、一生のうちにいくつも商売をやる人が、もちろん当たり前にたくさんいるという事実が衝撃的だった。
子供の頃にたくさん読んだ絵本の中に、主人公が一生の中でいくつも商売替えをする物語などあっただろうか。
パン屋さんからタピオカドリンク屋になって、アイスクリーム屋さんになる。そんな物語を読んでいたら、仕事に対する考え方は変わっていたろうか。
何も深く考えることもなしに役者になり、このまま死ぬまで役者をやるつもりでいる私だが、もしかしたらそれを叶えるのは奇跡を起こすくらいのわずかな確率なのかもしれない。
バブルの頃に上京して芸能の世界に入り、そこからテレビの黄金期を内側から見てきて、バブルはじけてネットが普及してと、ほんの30年余りの間にも大きな時代の変化の波をまざまざと感じている。