コロナ禍のさなかに安倍政権が検討を始め、議論百出の9月入学。自民党と公明党の検討チームが、混乱を招いて負担がかかると導入を見送るよう求める提言をするなど侃々諤々の議論が続く。
自民党幹部はこう話す。
「当初はコロナで頭がいっぱいで、安倍さんはまったく9月入学に興味を示していなかった。ただ、側近の下村博文さんが来年からの9月入学導入に熱心なので、選択肢の一つと言いだした。だが、文部科学省幹部は最初から『本気でやるのですか? 法改正だけで30~40くらい必要で、国会議員の先生方の休みもなくなりますよ』とやる気がなかった。案の定、自民党、公明党の検討チームも見送りを言いだした。すると、安倍さんも早々に見送ると投げ出したね」
しかし、党にハシゴを外された下村・自民党選対委員長は5月末、稲田朋美幹事長代行ら9人とつくる議員連盟「Withコロナ・Afterコロナの新たな国家ビジョンを考える会」を設立。21年度の9月入学を進めるべきだと声をあげた。「9月入学」をめぐる議論は、まだまだ二転三転しそうな気配だ。
そもそも「9月入学」議論の発端は、4月初頭に高校生がつぶやいたツイートだった。
「このまま休校が続けば、高校生活は短くなってしまう。入学・進学を9月にして欧米とそろえてほしい」
この切実な訴えは反響を呼び、別の高校生らが署名活動を始めた。
東京都の小池百合子知事は「社会を大きく変えるきっかけになる」と賛成を表明し、安倍首相も前向きな姿勢をみせた。