具体案まで踏み込めなかった理由について、検討会の一人は、新型コロナウイルスの影響を挙げる。
「経済協力開発機構(OECD)のルール作りがコロナのせいで滞っているようです。報告書をまとめるまでに一定の内容が示されていれば、環境省の検討会も、もっと厳しい案を示すことができたかもしれません」
OECDのルールは、加盟国の輸出政策に影響をおよぼす。仏、独、英国などの主要国は、石炭火力発電を全廃する方針をすでに打ち出しており、国際的には「脱石炭」の流れが強まっている。海外で石炭火力発電所を造り続ける日本の姿勢には批判が集まっている。
そうした背景もあり、小泉氏は昨年12月に出席した国際会議で、石炭火力の輸出制限策を表明しようと画策したものの、調整がつかずに見送った経緯がある。
「今年1月に改めて見直しの必要性を訴えたのも、そうしたトラウマが反映している」(前出のガス会社幹部)
これまで環境相として目立った成果を上げることができずにいる小泉氏。あの「進次郎節」が聞ける時は来るのだろうか。(本誌・池田正史)
※週刊朝日 2020年6月12日号