同大では他にも、テレビ会議アプリ「Zoom」を使って週300人程度の学生の個別相談も実施。オンライン上でも従来通りのクオリティーで応対しているが、課題もある。

「対応できる学生数も例年の約6割です。予約制のため、なんとなく不安感を抱えている学生がふらっと立ち寄ることができなくなりました。就活の長期化も予想され、ずるずると続けてしまう学生が増える懸念もあります」(同担当者)

 大学はあらゆる事態を想定して、あの手この手で学生をサポートする。だが、コロナショックの影響を受けるのは21年卒だけではない可能性がある。

 大学通信が調査したリーマン・ショック後の実就職率では、08年にリーマン・ブラザーズが破綻し、日本の景気も悪化。内定取り消しが社会問題となったが、就職率に変化が起きたのは10年からだった。コロナとリーマンを一概に比較することはできないが、大学側もリーマンのトラウマがある。前出の安田常務が言う。

「これから採用計画を立てる22年卒はもっと割を食うはずです。業績次第で採用をやめる企業が出てきてもおかしくないです」

 今回の企業アンケートでも、21年卒に比べ22年卒の採用に対して歯切れの悪い回答が目立った。すでに夏のインターンシップを見送る企業も出始めるなど、大学も危機感を募らせている。

 思いもよらないコロナ禍に巻き込まれ、就活戦線は乱れに乱れた。だが、この数カ月の間にオンライン化が急速に進むなど、新たな就活の在り方も生まれている。

 リーマン・ショック時、実就職率を伸ばした名古屋大は、アンケートでこう答えている。

「ウィズコロナの時代到来で新たなビジネスの台頭も考えられる。採用勢力図の大きな書き換えが見られるのではないか」

 新時代の就職活動に取り残されないためにも、今を前向きに乗り切る姿勢が問われる。(編集部・福井しほ)

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