聞き流すのが吉?(※写真はイメージです)
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西野一輝(にしの かずき)/経営・組織戦略コンサルタント。大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集・企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000名以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている
西野一輝(にしの かずき)/経営・組織戦略コンサルタント。大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集・企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000名以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている

「前例あるの」「やる必要あるんですか」。上司や同僚、お客さまの一言で、やる気が下がってしまったことはないだろうか。経営・組織戦略コンサルタントの西野一輝氏は、そんな人たちのことを”モチベーション下げマン”と名づけている。こうした厄介な存在にどう対処したらいいのか? 西野氏は、2000人以上の経営者・著名人のインタビューを通し、やる気を高い人にはある行動・思考の法則があったという。初の著書『モチベーション下げマンとの戦い方』(朝日新聞出版)から一部を抜粋・再構成して紹介する。

【写真】「モチベーション下げマンとの戦い方」を指南する西野一輝氏

*  *  *

 ネガティブな言葉で周囲のモチベーションを下げる人がいます。例えば、「結局これやっても意味ないよね」とか「社長に言われたから、いったんやるけど、どうせいつか消えてなくなる仕事だよ」といった発言。大半の人は、心の底には秘めている言葉であるものの口には出しません。ところが、彼らは出してしまうのです。 

 先日、広告代理店の会議に参加したときにこんなことがありました。制作された広告作品に対して、クライアントからの修正の依頼が営業と役員から持ち込まれました。ところがそれは、制作する立場からすれば「ちょっと時代遅れな作風じゃない?」と同業から指摘されかねない修正でした。すると、クリエーターはこんな一言をつぶやきました。

「スポンサーのために妥協すればいいのですよね」 

 彼は、「世の中が求めるものから離れてしまう修正なんてやりたくない」、そんな心の叫びを口にしたのかもしれません。しかし、この発言によって、チームの士気が下がることになってしまいました。 

 クリエーターにとっては、許しがたい修正であったことは想像できます。しかし、一見正論ではありながら、ネガティブな発言をする人は“モチベーション下げマン”といえるでしょう。
 
 その理由は、「仕方なくやる」というスタンスであるからです。建設的な議論をすることなく、ともできました。まさにモチベーションの高い仕事の場面といえます。しかし、そうではなく「反対だけど、やりますよ」という姿勢を表明しては、周囲もやる気が下がるだけです。

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話がまとまりそうになると反対意見を言う人の心理