連日、市内の抗議デモに参加しているという黒人女性のシェニース・バニアンさん(27)は「自宅待機令」で2カ月以上も自由に外に出られないストレス、長年の黒人に対する差別への怒り、そして今回の抗議デモの広がりを見て、いてもたってもいられなくなったという。「感染は怖いけど、この不公平な現状に憤りを感じた」
一方、抗議が始まった当初は、一部の参加者が市内の高級ブランド店などの窓ガラスを割り、商品などを略奪。地元警察によると、逮捕者はこれまでに2千人以上にのぼる。筆者も抗議デモが繰り返し行われている地区を歩いてみたが、店頭に木板でバリケードをつくるなど店は対応に追われていた。デモ参加者の一部が暴徒化し、デブラシオ市長は夜間外出禁止令を発令した。連日のデモは、これまで強固な政策で外出の自由を制限されていた市民のストレスが、一気に爆発したかのようである。
それは、これまで人種間の分裂を助長してきたトランプ大統領にも向けられている。このまま人種差別に対する抗議が続けば、11月に大統領選を控えたトランプ氏の再選も危ういかもしれない。(新垣謙太郎)
※週刊朝日オンライン限定記事