国も手をこまねいているわけでなく、企業を支援する雇用調整助成金の日額上限について、1万5千円へ引き上げることなどを盛り込んだ第2次補正予算を成立させた。だが、補助金や支援金の支給をめぐっては役所の手続きが遅れているうえ、手続き作業を運営する民間委託で不透明な実態も明らかになった。

「非正規労働者の権利実現全国会議」の事務局長を務める村田浩治弁護士は「企業が従業員の雇用を継続する対策にもっと取り組むべきだ」と注文をつける。

「1人当たり10万円を支給する特別定額給付金や、売り上げの減った中小企業などに最大200万円を給付する持続化給付金など、これまでの対策は対症療法的なものが多い。一時金のようなものばかりでなく、雇用契約を一定期間維持するよう義務付けたり、正社員と非正規社員の格差を減らしたりするなど、雇用の確保に直接つながる対策が必要です」

 90年代後半の金融危機以降に続いた「就職氷河期」世代は、今でも影響が残る。将来に禍根を残さないように、すべきことは多い。(本誌・池田正史、吉崎洋夫)

週刊朝日  2020年6月26日号より抜粋

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