フェースシールド着用のうえ、飲み会に参加する人たち=大分市 (c)朝日新聞社
フェースシールド着用のうえ、飲み会に参加する人たち=大分市 (c)朝日新聞社
酒を長く楽しむための10箇条 (週刊朝日2020年7月3日号より)
酒を長く楽しむための10箇条 (週刊朝日2020年7月3日号より)

<百薬の長とはいへど、よろずの病は酒よりこそ起れ>。兼好法師は徒然草にそう記した。働き方やコミュニケーションなどに変化をもたらしたコロナ禍。酒の飲み方にも少なからず影響を与えている。で、飲み続けたい人はどうすれば?

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「飲酒は自分がリラックスできる一番の方法。人生の最期まで楽しみたいと思っています。ただしこれまでも、1日の純アルコール摂取量20グラムはゆうに超えていたので……」

 そう話すのは、団体職員の男性(59)。これまでは家での晩酌に缶ビール2本と焼酎をロックで2~3杯が平均飲酒量。ところが、ラストオーダーのない家飲みと、毎朝出勤しないでいい気楽さ、なにより四半世紀の社会人生活で初めて経験する在宅勤務など、さまざまな混乱のなか、近頃の酒量は、加速度的に増えていった。

 数週間後、瓶や缶のごみの量が以前の2~3倍になっていることに気がつく。ほとんどがアルコールの容器だった。マンションのごみ置き場にこそこそごみ袋を運び込み、ふと、50代で亡くなった酒飲みの父を思い出したという。

「自分だって体を壊したら、酒を飲む楽しみを取り上げられてしまう。酒への愛とリスクを秤にかけ、生まれて初めて週3日の休肝日を設けることにした。たかが酒のことですが、“長く細く”飲んでいく道を進むことを固く決意したわけです」(団体職員の男性)

 冒頭にこの男性が言っていた「1日20グラム」とは、厚生労働省の「節度ある適度な飲酒」に当たる純アルコール摂取量のこと。これはビールなら中瓶1本、ウイスキーはダブル1杯、日本酒は1合、ワインは小グラス2杯など、ほんの駆けつけ一杯程度の量で、酒好きにとってはご無体な基準となっている。

 しかも「節度ある適度な飲酒」超えをしてしまった場合、待っているのは健康トラブルのデパート。厚労省の健康情報サイト「e‐ヘルスネット」には、「アルコールによる健康障害」として、肝臓病、膵臓(すいぞう)病、依存症から、メタボ、認知症、歯科疾患まで、怖い病名がズラリと並ぶ。

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