金資産2000億円の9割を消失させたとされるAIJ問題で、ひと際注目されている旧社会保険庁OBがいる。仮にこの人物をI氏としよう。彼の年金コンサルタント会社はAIJとコンサルタント契約を結んだことがあり、AIJ投資顧問社長の浅川和彦氏から出資も受けている。会社設立時には浅川氏のオフィスの一角を間借りしていたほど、深いつながりがあった。そんな彼の素顔を関係者が語った。
 I氏は社会保険庁総務課などを経て、1996年に文具を扱う中小企業が加入する厚生年金基金の常務理事に天下った。この基金はヘッジファンドなどリスクの高い商品を使って運用することで有名だったという。
 I氏をよく知る年金基金担当の証券マンが言う。
「ちょうど伝統的な年金運用が行き詰まり始めたころで、I氏の手法は斬新だった。当時はさほど一般的ではなく、ドキュメンタリー番組『NHKスペシャル』で取り上げられたほどです」
 業界誌では、日本の年金運用に「代替投資」の新たな道を切り開いた先駆者として紹介され、I氏はインタビューで年金運用への熱い思いを語っている。
「社保庁からの天下りとしては珍しく非常に勉強熱心。厚生年金業界では有名人でしたよ。酒好きで温厚なため、慕っている人も多かった」(前出の証券マン)
※週刊朝日 2012年3月16日号

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