コロナ禍でリモート化が進むなか、圧倒的な存在感をみせたのは、IT、クラウド関連業種だ。
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「コロナの感染を恐れて人やモノとの接触を抑えるようになり、現金を触れずに支払いを済ませられるキャッシュレス決済が加速する。電子マネーやスマホ決済なども追い風を受ける」(野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト・木内登英さん)
医療では、コロナによる患者離れに苦しむ病院が出る一方で、オンライン診療の需要は高まった。そう分析するのは、医療のオンラインサービスを提供するメドレーの代表取締役で医師の豊田剛一郎さんだ。
「院内感染を防ぐ点が注目を集めましたが、本来のメリットは、忙しかったり遠方で通院が難しい患者さんの継続的な受診率が高まることです。通信機能つきの聴診器を患者さんが自分で身体にあてて、医師が遠隔で診察する『テレ聴診器』も開発されており、オンラインでのリハビリ指導も将来性が見込めます」
心臓外科手術では手術支援ロボット「ダビンチ」の活躍がニュースになるように、医療分野におけるIT技術の成長はすさまじい。コンサルティングや技術・研究職の転職支援を手がけるアスタミューゼの執行役員の嶋崎真太郎さんは、患者ごとに最適な治療を選ぶオーダーメイド医療に注目が集まるなか、膨大な医療データを分析・コーディネートする解析スペシャリストへの期待も高まる、と話す。
各国が巨額の研究予算を投資するのが、メンタルヘルス(こころの健康)の分野だ。投薬治療のほか、音楽や会話を通じた認知行動療法など、多様なサービスが誕生している。
「少子高齢化社会の日本では、高齢者の孤独死が問題になっていますから、カウンセラー職への需要は広がるでしょう」(嶋崎さん)
コロナ禍では、携帯電話の基地局の情報から人の移動を分析するビッグデータが注目を集めた。製品やサービスから、消費者の行動や傾向などを分析してビジネスで活用するデータサイエンティストは、いまや有名企業も「幹部候補生」として位置づける。