2020年6月10日、新潟日報社で、面接試験をする左から倉部未咲、荒井雅美。コロナ禍に入ったこの年、初めてのオンライン面接となった
2020年6月10日、新潟日報社で、面接試験をする左から倉部未咲、荒井雅美。コロナ禍に入ったこの年、初めてのオンライン面接となった

 総合プロデュース室長としてこの「鮭プロジェクト」の立ち上げにかかわった鶴間尚(つるまひさし=現東京支社長)は言う。

「新聞社は縦割りの組織ですが、こうした業務横断型のプロジェクトをすることが大事なんです。これまでにないアイデアが出てくる」

 一社2万2千円で会員企業をつのる。この額であれば、中小企業でも参加できる。そして学生たちの登録会員は、現在1800名となっている。

 新潟日報がプラットフォームになり、新潟の企業と学生たちを様々な形でつないでいく。

 2022年4月から始まったこの事業は、県外に出た若者と新潟日報、そして新潟の自治体や企業をもう一度つなげる場として、成長中である。

 新潟日報は、小田敏三というユニークな経営者がいて、過去二回とりあげたことがある。新潟にかかわるビジネスのプラットフォームに、というその経営方針と進取の気性は、「持続可能なメディア」のひとつの解でもあるような気がする。

下山 進(しもやま・すすむ)/ ノンフィクション作家・上智大学新聞学科非常勤講師。メディア業界の構造変化や興廃を、綿密な取材をもとに鮮やかに描き、メディアのあるべき姿について発信してきた。主な著書に『2050年のメディア』(文藝春秋)など。

週刊朝日  2023年2月17日号