■恋愛観でもマザコン気質が全開

 歌舞伎役者に似つかわしくない、親しみやすいキャラで人気を博している尾上右近だが、バラエティ番組で何度か恋愛観も明かしている。「有吉と採点したがる女たち」(TBS・3月24日)では、好きな女性のタイプを「強い女性だけど、ちょっと抜けてる人」と答え、「彼女に守ってほしいルール3つ」の問いに対しては「1日1回は連絡させてほしい。自分の家族と仲良くしてほしい。自分の仕事を見てほしい」と少しマザコン気質が垣間見える場面も。また、「グータンヌーボ2」(フジテレビ・4月28日)でも「おとなしくて明るい人」がタイプと述べ、その回答に共演した満島真之介とDA PUMPのKENZOは不思議顔。「明るい性格という軸は強さや頑固さにつながる」と熱く持論を展開する姿も印象的だった。

バラエティでの活躍に目を奪われがちだが、本業の歌舞伎では「中村壱太郎×尾上右近 ART歌舞伎」を7月12日にネット配信し、話題を集めたばかり。中村壱太郎が企画した同作は伝統芸能とデジタル配信技術、アートを融合した斬新な舞台となっており、SNSでは「2人の瞳の美しさと強さ儚さに鳥肌たったよね」など絶賛ツイートが相次いでいた。

 TVウォッチャーの中村裕一氏は、尾上右近の人気についてこう分析する。

「歌舞伎と清元という伝統芸能の継承者である一方、カレーという庶民的な食べ物に目がない、そのギャップが何より魅力的に映ります。6月に放送された『出没!アド街ック天国』でも、大好きな行きつけのカレー店のメニューをハイテンションで紹介していた姿が印象的でした。マザコンキャラと合わせて、そんな子どものような無邪気さも人気の理由でしょう。もちろん、本業でも評価は高く、2017年に『スーパー歌舞伎II ワンピース』でケガを負った市川猿之助の代役として舞台に立ち、ルフィとハンコックを演じ切ったのはまさに真骨頂と言えます。大事な役を任せられるということは、それだけ仲間からの信頼も厚いということですし、次の時代の担い手として将来を嘱望されているのは間違いないでしょう。兄のように慕う市川猿之助と、仲良しの尾上松也(血縁関係はなし)が現在放送中のドラマ『半沢直樹』で存在感を示しているように、彼もぜひテレビドラマに積極的に出演して暴れまくって欲しいですね」

 近年はミュージカルや映画にも活躍の場を広げている尾上右近。従来の歌舞伎役者像をくつがえす、彼の今後の活躍が楽しみでならない。(高梨歩)