特筆できるのは石勝線(南千歳~新得)で、132.4キロメートル中17カ所ある信号場のすべてが該当する(うち4カ所は根室本線との重複区間)。同線は両端駅を合わせてわずか8駅、平均すると16.5キロの駅間距離があるなか、新夕張と占冠との間34.3キロ中に4カ所、トマムと新得との間33.8キロ中に5カ所の信号場が設けられているなど、典型的な信号場銀座路線となっている。

 石勝線と接続する根室本線(滝川~根室)も同様の傾向があり、13カ所の信号場すべてがこのタイプになっている。ここで注目したいのは、うち12カ所が落合~釧路に集中していることだろう。石勝線と根室本線の新得~釧路は札幌と帯広や釧路とを結ぶ特急街道のため、列車の行違いや追越し可能地点を多くすることによって特急のスムースな運行を可能にしているのである。なお、両線の接続地点であり「C:分岐点」を兼ねる上落合信号場は新狩勝トンネル内という珍しいスタイルだ(ほかに長崎本線の肥前三川信号場など)。

 このタイプAは、単線区間ということから都市部では少数派だが、東京近郊の例としてJR成田線の堀ノ内信号場(成田~空港第2ビル)と京成成田空港線の根古屋信号場(成田湯川~空港第2ビル)がある。ともに運行本数が多いことから、「成田エクスプレス」などの特急も行違いのための停車を余儀なくされているなど、信号場停車を体験しやすい。

 田沢湖線にある大地沢と志度内信号場も行違い列車が多い。この区間は秋田新幹線の在来線区間でもあり、新幹線電車(特急「つばさ」)などの行違いが見られる。両信号場がある赤渕~田沢湖の駅間距離18.1キロに行違い地点を設けるために設置されたものだ。

■単線・複線が入り組んでいる路線と信号場

「B:複線区間の追越し」は比較的歴史が浅いタイプで、追越しなどのための待避線を持つ駅同士の距離が離れていることや、運行ダイヤの混雑度などを背景に設置されている。一例として、総武快速線の黒砂信号場(稲毛~千葉)を見てみると、複線になっている同線に中線を1本設けて列車の待避用としているものだ。千葉駅から房総方面への普通列車が幕張車両センターとの間の回送運転をする際に待避するケースが多い。

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分岐点タイプは上落合信号場や中小国信号場が代表例