「最初はミルワームも選択肢の一つだったのですが、試作してみたら、ちょっと気持ち悪くて…」(田中さん)
その点、コオロギは昆虫食の中でも“ビギナー”向けだという。
「第1弾でも、食べやすいよう、小ぶりな品種のコオロギを選びました。見た目もワームやサソリとかと比べるとかわいいですし」(同)
さらに、コオロギは「味」がいいのだという。
「実は、コオロギからは出汁が取れるんですよ」(同)
なんでもコオロギは系統的に甲殻類に近いため、成分もエビやカニに近い。つまり、エビに似た味わいで食べやすく、うまみ成分も豊富なのだという。うまみ成分であるグルタミン酸は、なんと昆布の約3倍も含まれているそうだ。
「なので、『うま味をより感じてもらえる味付けは何か』と考えに考えました。きっとラーメン味にしたら、すごく合うだろうと思ったわけです。ただ、成分が似ているので、エビやカニのアレルギーをお持ちの方は注意してくださいね」(同)
言われてみると確かに、スナックはエビのような香ばしい風味が鼻を抜けて、「コクや深みのある味わい」があったような気がする。
材料となるコオロギはどのように調達しているのだろうか。草むらかどこかで、野生のコオロギを捕まえてくるのだろうか。
「カナダで養殖した、オーガニックコオロギを使用しています」(同)
コオロギにも違いがあるのか。田中さんによると、コオロギは無農薬のトウモロコシなど、オーガニック飼料を与えて育てており、厳正な審査を経て「オーガニック認証」を受けているという。オーガニックコオロギを使用しているのは、同社が日本で唯一なのだそうだ。
「意外と高級品なんですよ。原価はけっこうかかります」(同)
カナダのファームで手塩にかけて育てられたコオロギは、海を渡り、すりつぶされて、まぶされて、われわれ消費者の口の中でまろやかに広がる。そう思うと、ありがたみも増してくる。