同社が注目したコオロギだが、実はいま、スーパーフードとして、欧米を中心にもてはやされている。というのは、コオロギは可食部位が他の家畜と比べても格段に多く(牛は40%、コオロギは80%)、栄養価も抜群。コオロギは重量の65%がプロテインで構成されており、高たんぱく。さらに、鉄分、カルシウム、ビタミンなど豊富な栄養素を含んでいる。

 また、コオロギの環境負荷は低いといわれている。他の家畜と比べて温室効果ガスの排出量が格段に少なく、必要な水の量も牛の約20%に抑えられるという(体重1キロあたり)。つまり、環境負荷が低く、栄養価もバツグンのコオロギは、食糧危機というグローバルな課題を解決する可能性を秘めた食材なのだ。

「コオロギスナックを通して、『地球の資源』と『食糧危機という地球規模の課題』を知って考えてもらうきっかけになれば」と田中さん。

 現在は「コオロギ柿の種」や「スーパーコオロギおつまみせんべい」など、計11種の商品を展開する。田中さんはラインアップを充実させた理由について、「スーパーの棚で置いてもらうときに、1種類だけだと目立ちませんし、盛り上がらない。ゆくゆくは広いスペースに『コオロギシリーズ』のコーナーを作って展開してもらえるよう、もっと増やしていきたい」と野心をちらつかせた。

「コオロギなんてゲテモノ」と偏見を持っていた私も、取材を通して魅了されてしまった。

 世界人口は年々増え続けており、2030年には85億人に到達するといわれている。食糧難にさらされたわれわれが当たり前のように昆虫食を食べている、そんな未来が、すぐそこに迫っているのかもしれない……。(AERAdot.編集部/飯塚大和)

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