作家の室井佑月氏は、「Go Toトラベル」の裏にある“思惑”に異議を唱える。
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7月21日の文春オンラインに「Go Toキャンペーン受託団体が二階幹事長らに4200万円献金」という記事が載った。「Go Toトラベルキャンペーン」を1895億円で受託したのは「ツーリズム産業共同提案体」という団体。この団体は、全国旅行業協会(ANTA)、日本旅行業協会(JATA)、日本観光振興協会という三つの社団法人と、JTBなど大手旅行会社4社で構成されるという。自民党幹事長の二階俊博氏は30年近くANTAの会長をつとめている。記事にも書かれていたが、二階氏は“観光族議員のドン”といわれている。
政治家が自分を応援する団体に、税金を流す。税金が投入された団体は、議員を応援する。金は子分の議員にもまわされる。それが目当てで子分になる議員もいる。多くの子分を引き連れた議員の発言力は強くなり、大規模な予算(税金の使い方)に口を出しやすくなる。となると、それでもうかる企業や団体がわらわらと群がって……。
と、いったところかしら。この一報を見たときのあたしの感想は、「だと思った」。
もうみんな薄々気がついているだろう。この国でカジノを解禁したがる議員も、アメリカから使えるか使えないかわからない巨額な武器を買いたがる議員も、東京オリンピックゴリ押し議員も、おなじような構図の中であたしたちの税金に群がっているのかも。
あたしたちへの裏切りだ。あたしたちが弱り切っているときくらい誠実になってみろと思うが、彼らにとってあたしたちはいくらでも湧いてくる虫程度にしか思われていないに違いない。
7月22日から始まった「Go To」は一部それで美味しい思いをする人間のために税金を流す、と決められていた。だからコロナが収束していないのに進めるし、翌日から始めるという21日の段階で初めて事業者向けの説明会が開かれた。