かつて山科家の会社だったバンダイは、


「おっしゃることが事実かどうか確認できないので、コメントのしようがありません」(広報IR担当)
 と言うばかり。

 財団理事の森元首相に取材を申し込むと、代理人の弁護士から以下のような回答が書面で返ってきた。

「森喜朗氏は直治氏の晩年、『息子のことをよろしく頼む』と言われていました。(山科氏の問題については)それ自体が真実かどうか、知りません。仮に真実だったとしても、その事実を全く知りません。財団の資産の現状も知りません」

 旧厚生省児童家庭局長で財団の初代副理事長だった金田一郎氏はこう話す。

「事務局に役人OBがいれば、基本財産を流用させたりはしなかったでしょう。直治さんは事業家として大変素晴らしい方で尊敬していましたが、誠さんはバンダイの経営すらあまり熱心ではないようでした。直治さんが『息子は事業には向いてない。小説を書くほうが好きなんだ』とぼやいていたのを覚えています」

 都内のおもちゃ図書館を訪ねると、障害のある子どもたちが遊んでいた。10年以上通っているという20代後半の男性もいた。

「ここは本当に気を使わなくていい場所です。みんなが親類のようなもので、親としても安らかな気持ちになります」(母親の一人)

 山科氏はバンダイの社長だった83年、「夢・クリエイション」という企業スローガンを掲げた。子どもに夢を与えるべき会社の2代目が、障害のある子どもたちの喜びを奪うなど言語道断である。 

週刊朝日

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