〈あなたは男から見ると楊貴妃であり、傾城傾国の運勢を持った女性ということになります。男にとっては最も魅力的な女性でありながら、逆に最も危険な女になるということです〉
〈魂は私に語っています。聖なる剣と聖なる燭台が一つになって、二人は永遠の命を得られる聖なる王宮に入ることができると〉(原文ママ)
山科氏はAさんと海外へたびたび出かけ、1本5千円もする花を毎月30本贈り、揚げ句の果てには2億円以上かけて一戸建てを購入し、プレゼントしたという。別れた後で、その購入資金を返すか返さないかで訴訟となり、Aさんが3500万円を支払うことで和解が成立した。くだんのラブレターは、訴訟の証拠として採用されたものの一部だ。
そんな女性関係以上にカネがかかったのが、怪しげな投資話だったという。
ゴルフ場買収や不動産投資などを繰り返し、多額の負債を抱えた山科氏は昨年、IT関連の会社を本格稼働させた。動画配信事業が軸で、当初は「次のグーグルを目指す」「わが人生最後の大チャレンジ」と鼻息は荒かったというが、うまくいかなかったようだ。
「事業のパートナーに選んだ人物が名うてのワルで、通常では考えられない外注などを行い、巨額の損失を会社に与えた。被害は約5億円と聞いています」(前出の山科HD元役員)
この失敗が山科氏の"自転車操業"を破綻させる決定打になったようだ。別の山科HD元幹部が言う。
「山科さんは、バンダイ株が最高値のときで約150億円、不動産で約20億円の個人資産を持っていました。しかし、数々のトラブルや失敗で株を手放し、不動産にもほとんど抵当を付けられてしまっています」
◆社長時代掲げた「夢」を奪うのか◆
世間知らずのボンボンが「愛欲」と「金欲」に迷って資産を蕩尽し、手を付けてはいけない財団のカネを使い込んでしまったのか。
山科HDに取材を申し込んだが、「回答する義務はありません」というファクスが返ってきただけだった。
そこで本誌は、東京・銀座の山科HDが入っているビルを訪ね、山科氏が男性2人と連れだって出てきたところを直撃した。それまで上機嫌で話していた山科氏に「週刊朝日ですが......」と切り出すと、途端に顔色が変わり、
「いま大事なお客さんと一緒だから。それに取材には答えないと伝えたはずです」
と取り付く島もなかった。