いい役者とは、そのシーンを自分のものにしようとするのではなく、サポートに徹することができる人のことだと永瀬さんは言う。

「そういう役者になりたいですね。でも、いつになることやら」

 今だって。いや、6年前に撮った「二人ノ世界」だって。永瀬さんの芝居は、共演者とのセッションの中で、相手役の良さをきちんと引き出しているように見えた。

(菊地陽子、構成/長沢明)

永瀬正敏/(ながせ・まさとし)1966年生まれ。相米慎二監督「ションベン・ライダー」で映画デビュー。91年、山田洋次監督「息子」で八つの映画賞を受賞。「あん」(2015年/河瀨直美監督)、「パターソン」(16年/ジム・ジャームッシュ監督)、「光」(17年/河瀨直美監督)で、カンヌ国際映画祭に3年連続で公式選出される。公開待機作にイラン・日本合作の「ホテルニュームーン」、矢崎仁司監督「さくら」など

週刊朝日  2020年8月14日‐21日合併号より抜粋

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