「習ったかもしれないけど、忘れちゃった」
あ、そうなの?
「うん。でもみんなこうやって書いてるよ。マミーもね」
そこで、マミー(すなわち義妹)にも声をかけてみました。ねえねえ、ちょっとMの字を書いてみてくれない? 結果は、姪っ子の言う通り【1】でした。
「アルファベットの書き順なんて初めて意識したよ。学校で習った記憶はあるけど」
そうなんだ?
「一筆で書く人が多いと思うけどね。それがいちばん楽だもの」
どうやら、出版社が提唱する書き順と世間の実情には、乖離があるようです。私は各出版社の問い合わせ窓口に、次のようなメールを送ってみました。
”こんにちは、私は貴社の教材○○○を使って娘にアルファベットの書き方を教えている一母親です。最近、貴社が採用しているMの書き順が他社のものと異なることに気が付きました。生徒が実際に書く順と異なることもあります。それはなぜでしょう。この書き順を採用するにあたり、何か参考にされたものはあるのでしょうか。”
来た回答は、「アルファベットの書き順に決まりはありません」とか「出版物によって書き順は変わります」という、そっけないものが大半でした。まるで、そんな当たり前のことをわざわざ問い合わせてくるなよとでも言いたげな。ただ、1社からはなかなか誠実な回答がありました。それは、【4】の複雑な書き順を採用している少数派の出版社からでした。
”こんにちは。私たち編集部では、各学年を指導する教師陣と連係をとって教材を制作しております。この書き順は、彼ら教師陣が薦める方法です。”
そうか、現場の先生たちがお薦めしているのか。確かに【4】の順で書くと、時間はかかりますが左右対称で美しいMができあがる気がします。
最後は、英語の先生に尋ねてみました。知人のエミリーは外国人生徒に英語を教えており、過去には中国で英語教師もしていた人です。
「アルファベットの書き順か。確かに漢字圏の人たちはちょっと戸惑うかもね」