冒頭で取り上げた相鉄とJRとの直通運転や東京メトロ副都心線を介したルート、都営浅草線と京成・京急との直通運転はC「都市間または生活路線ルートとの拡充」に相当する。現状ではこのタイプの拡充が著しい。

 こうした直通運転は、該当ルート上での乗り換え回数を減らせることや、それに伴う所要時間短縮といった効果がある。また、接続駅における混雑緩和にもつながっている。相鉄とJRとの直通運転で見ると、かつて59分を要した二俣川~新宿が44分に短縮されたなど、目に見える効果を上げた。また、都心をスルー運転することにより折り返し駅を郊外などに分散することにもなる。

 一方で、遅延などのイレギュラー運行が生じやすいことや、利用者にとって運行系統がわかりづらいといったデメリットがある。とりわけ、直通により運転距離が長くなったり、複数の会社が関係している場合にリスクが高く、相互乗り入れ運転による複雑な運転ダイヤもあって、小さなトラブルが大幅な遅延や運転区間の変更などに結びつくケースは多い。また、直通運転に伴い行き先や経路が複雑となるのも注意すべき特徴といえるだろう。

 たとえば、西武鉄道の所沢駅の場合、池袋方面の行き先は池袋のほか武蔵小杉、横浜、元町・中華街、小竹向原、新木場、豊洲の各駅が並ぶ。このうち池袋行き以外は途中の練馬で西武有楽町線に乗り入れ、小竹向原からは東京メトロ有楽町線で池袋(西武鉄道の池袋とは別駅で改札外での乗り換えが可能)を目指す。さらに池袋(メトロ)では副都心線と有楽町線とに分かれ、それぞに直通運転が実施されているのである。ここに快速急行や準急などの列車種別が加わるわけで、日ごろから乗り馴れている路線(ルート)であっても、時間帯がいつもと異なる場合などには迷うことがあるかもしれない。

■観光需要に応じた多彩なルート

 こうした通勤・通学などの生活ルートのほか、都市間や観光地を結ぶ直通運転も各地で見られる。東京~伊豆急下田・修善寺で運行されている特急「踊り子」や新宿と東武日光および鬼怒川温泉とを結ぶ「スペーシアきぬがわ」などの特急、小田急とJR御殿場線とを直通する特急「ふじさん」(新宿~御殿場)などが該当。京都~倉吉を結ぶ特急「スーパーはくと」など智頭急行線経由特急も同様にCタイプの仲間だ。

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比較的新しいのは特急「北アルプス」