JR線なら安価でどこへでも行けると人気の「青春18きっぷ」(C)朝日新聞社
JR線なら安価でどこへでも行けると人気の「青春18きっぷ」(C)朝日新聞社
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肥薩おれんじ鉄道は、青春18きっぷ利用者に「おれんじ18フリーきっぷ」を安価に提供する(写真・岸田法眼)
肥薩おれんじ鉄道は、青春18きっぷ利用者に「おれんじ18フリーきっぷ」を安価に提供する(写真・岸田法眼)
北陸本線の富山県内区間(倶利伽羅~市振)を承継したあいの風とやま鉄道の521系電車(写真・岸田法眼)
北陸本線の富山県内区間(倶利伽羅~市振)を承継したあいの風とやま鉄道の521系電車(写真・岸田法眼)

 国鉄時代から続く企画乗車券のひとつに「青春18きっぷ」がある。春季、夏季、冬季に設定され、JR在来線の普通列車、JR西日本の宮島連絡船が乗り放題なので、老若男女問わず愛用、重宝されている。未来永劫続くきっぷであるよう、あえて価格の値上げを提言しよう。

【写真】4月に廃線となった札沼線ラストランはこちら

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■新幹線の開業で並行在来線の多くは別運賃に

 近年、JR西日本三江(さんこう)線やJR北海道札沼(さっしょう)線の一部区間など、ローカル線の廃止が相次いだ。だが、青春18きっぷユーザーにとって、“最大の死活問題”は新幹線の開業で、“大動脈”である並行在来線の多くが利用できなくなったことだ。

 その始まりは23年前の1997年10月1日にさかのぼる。北陸新幹線高崎~長野(当時、JR東日本は長野行新幹線という呼称を用いた)の開業により、信越本線横川~軽井沢はJRバスに転換、軽井沢~篠ノ井は、第三セクター(以下同)のしなの鉄道が引き継ぐことになった。これにより、青春18きっぷでの利用ができなくなったのだ。

 幸い、東京~長野は中央本線・篠ノ井線経由、東京~小諸は中央本線・小海線経由というルートがあることから、青春18きっぷユーザーにとっての影響は最小限で済んだように思う。

 21世紀に入ると、東北新幹線がついに北へ延び、2002年12月1日に盛岡~八戸が延伸開業すると、東北本線の同区間は、IGRいわて銀河鉄道(盛岡~目時)と青い森鉄道(目時~八戸)に転換された。無論、青春18きっぷの利用ができない。加えてJR東日本花輪(はなわ)線に直通する列車に関しては、盛岡~好摩(こうま)がIGRいわて銀河鉄道エリアのため、別運賃となってしまう。

 8年後の2010年12月4日、東北新幹線が八戸~新青森の延伸により全通すると、東北本線八戸~青森は青い森鉄道に引き継がれたが、八戸で分岐する八戸線、野辺地(のへじ)で分岐する大湊(おおみなと)線は引き続きJR東日本が運営するため、八戸~青森は八戸、野辺地、青森で下車する場合のみ、青春18きっぷでの通過利用ができることになった。しかし、盛岡~八戸は引き続き青春18きっぷでの乗車ができない。

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新幹線が続々開業し18きっぷの利便性は下がるいっぽう