──立憲と国民、それぞれの支持者は、党の理念が失われると感じるのではありませんか。
「野合ではないか」「単なる数合わせだ」というご批判もあると思いますが、立憲民主党を支持していただいている方にとっても、我々が「万年野党」に甘んじているようでは結党時の期待はしぼんでゆくでしょう。党の理念を守ると同時に、野党第1党として政権に対峙し、政権奪取を目指す姿勢を示す必要がある。その点ではギリギリの両立を目指す必要があると考えています。
今の政治状況を生んだのは3年前の不幸な出来事でした。希望の党が排除の論理をかざし、踏み絵を踏むよう求めた結果です。だからこそ我々は「排除」は行いません。両党の政調会長がまさに熟議を重ね、「この旗の下になら結集できる」という新党の綱領案をまとめた。新党には民主党の時代を知らない新しい世代も加わります。できるだけ多くの人が参加しやすい環境を整備したいと思っています。
──どのような「綱領」になるのでしょうか。
ここに新党の綱領案がありますので、ご覧ください(全文はアエラドットに掲載)。新党の名前は代表選を経て決まりますが、党の理念として冒頭に置いたのは「立憲主義と熟議を重んじる」という点です。その上で自由と多様性を尊重する、人間が基軸となる共生社会を創る、国際協調をめざし未来への責任を果たす、という基本理念を掲げました。
各論では「性別を問わずその個性と能力を十分に発揮することができるジェンダー平等の確立」、「原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会」、「過度な自己責任論に陥らず、公正な分配により格差を解消し、一人ひとりが幸福を実感できる社会」などを盛り込みました。原発に依存しない社会を目指す一方、電力の安定供給、雇用や技術者の確保、地域経済への影響など現実的な対処は当然です。
──改憲や安保、外交についてはどのような扱いですか。
日本国憲法の三つの原則を堅持しつつ、「立憲主義を深化させる観点から未来志向の憲法議論を真摯に行う」としました。ここでも、「草の根の声に基づく熟議を大切にする」という姿勢を改めて示しています。
安保と外交については「国際協調と専守防衛を貫き、現実的な安全保障や外交政策を推進する」としています。具体的には、健全な日米同盟を軸に、アジア太平洋地域とりわけ近隣諸国をはじめとする国々との連携を強化すること、国連などの多国間協調の枠組みに基づいて気候変動など地球規模の課題にも正面から向き合うことをうたいました。核兵器の廃絶をめざし、「人間の安全保障」を実現する、としています。