スマートかつダイナミックなプレーは、華を感じさせる『スター』である。
今季はここまで苦しいシーズンとなっているが「心配ない」と太鼓判を押すのは、かつて中日のスターだった宇野勝氏。同じ遊撃手で強打者という共通点がある宇野氏が、坂本の現在について語ってくれた。
「結果はもちろん見ていて単純におもしろい。長いプロ野球の歴史においても坂本ほどのスターはいない」
宇野氏は坂本への賛美から話を始めてくれた。
「高卒でプロ入りして10代の頃からレギュラーとして活躍している。プロの世界で結果を残し続けることは難しい。それを10年以上続けているということだけで素晴らしい。また勝負強くて試合を決める活躍をする。時代は違えど長嶋茂雄、王貞治に匹敵すると言っても過言ではない」
宇野氏もインパクトなら負けていない。中日、ロッテを通じてプロ通算18年、強打の内野手として活躍。本塁打王1回(84年)、ベストナイン3回を獲得し遊撃手としてのシーズン最多本塁打記録41本(85年)を持つ(ちなみに第2位は坂本が19年に放った40本)。また派手な珍プレーでも名前を轟かせ、全国的に名前を知られるプロ野球選手だった。
「僕とはまったく違う。巨人の中心選手としての知名度、重圧などは他球団のものと比べ物にならない。野球ファン以外でも坂本を知っている人は多いはず」
しかし今シーズン、開幕から坂本は別人のようだった。特に打撃では思ったようなスイングができず、打率は2割台前半を行き来する時もあった。新型コロナウイルス蔓延に伴い、シーズン開幕が遅れたことの影響もあるのだろうか……。
「調整が難しかったのは間違いない。これまでは開幕から逆算して、自主トレ、キャンプ、オープン戦と調整ができていた。それが3月の時点で早々と開幕延期が決まり、調整すべてが振り出しに戻った。それを再び組み立て直すには時間がかかる」
「技術、体力、精神のすべてにおいて影響があるはず。練習試合など組まれたが、明らかに実戦形式での調整が少なかった。また開幕した6月19日の梅雨時期には、どんな選手も必ず疲労が現れる。連日、ジメッとした天気では誰だってコンディションは崩れるよ。気持ちの部分でも1度切れてしまっている。すべてでピークへ持ってくるのに時間がかかる」
開幕の6月は選手の調子が上がらない梅雨時期。今年は開幕から調子が出ないのは想定内であり、夏場以降のこれからが重要だと続けてくれた。