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仕事の基本「ホウレンソウ」。しっかり実践しているつもりでも、上司から評価が得られていないとしたら、やり方に問題があるかもしれない。ゴールドマン・サックス、マッキンゼー&カンパニー、ハーバード・ビジネススクールを渡り歩いた、ベリタス株式会社代表取締役・戸塚隆将氏の著書『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』から、有能な人の「ホウレンソウ」を紹介する。
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■リアルのホウレンソウは先手必勝
「戸塚、例の件どうなっているの?」
甲高い上司の声がオフィスに響きました。少々苛立だっているようです。3日前に指示を受けた、ある業界のリサーチについて状況報告をしろ、というリクエストでした。
「例の件」という表現で、私には何の件かすぐにわかりました。なぜかといえば、私はその日の午後に中間報告をしようと考えていたからです。
午前中は別件のクライアントから電話があり、対応に追われていました。とは言いつつも朝一は比較的落ち着いていて、緊急の電話さえなければ、お昼前に上司に報告することができたはずでした。
上司のもとにいくと、矢継ぎ早に質問が飛んできました。私のリサーチ内容に厳しい突っ込みがありました。全体としてリサーチの出来はまずまずでした。決して厳しい質問を受けるようなものではなく、冷静に受け答えすれば、すんなりと終わるホウレンソウのはずでした。
それが間髪をいれずに質問が飛んでくると、たじろぐものです。その態度が、上司には自信のなさに映ったのでしょう。通常ならば3分程度で終わるはずの報告が、結果15分以上かかりました。報告が終わった後、私は汗ばみながら席に戻りました。
この出来事は、私がゴールドマンの新人時代に実際にあった光景です。ホウレンソウの基本ができていなかった悪い例です。
ホウレンソウの基本は、上司に聞かれる前にすることです。
上司に聞かれてから報告するのでは遅いのです。自ら先に報告をしにいくことで、ポイントを整理し論理立てて伝えることができます。準備がしっかりできているため、自信を持った受け答えができます。