16年春にあった会合で、会員の女性らに同年5月号のポリスマガジンが渡された。同年に広島県で開催された「G7サミット外相会合」などの要人警護訓練といった多数の警察活動を描く記事が出ており、その記事の合間に、Shunkaと関連する女性向けの化粧品や宝石、イベントや会員募集の案内などの広告が出ていた。おおよそ想定される読者のイメージとは不釣り合いともいえる。

 雑誌を配ったShunkaの幹部は女性らにこう語ったという。

「こういう雑誌に広告を出すには警察の信用がいる。我々には警察がバックに付いている」

 雑誌を受け取った女性らは別の女性会員にコピーを回すなどし、投資も増えたという。

 Shunkaは昭恵氏も利用した。同社は関連会社が発行する外国人モデルを表紙に使ったファッション季刊誌「Brilliant」を会員に無料で配っていた。

 この雑誌の14年夏号に「今、世界で輝き続けるブリリアントレディ~再び、ファーストレディになって想うこと」とのタイトルで昭恵氏が登場。インタビューで、各地のイベントなどに積極的に参加する意義について、

「普通なら総理夫人としてやめたほうがいいと思うかもしれない。でも批判されてもニュースとして取り上げられて興味を持ってくれたらいい」

 と持論を展開。

「私はいろいろなところに行って自由に会話できるので主人より生の声がたくさん聞ける」「私は総理大臣の一番近くにいる存在。皆さんの声を直接届けられる、国民の代表だと思っています」と読者に寄り添う姿勢を示した。この記事に多くの女性会員が共感したという。

 だが、女性らの安倍夫妻への信頼は裏目に出る。雑誌が配られてまもなくの16年5月末、「(投資の)存続が厳しくなった」という文書が会員に郵送され、水やゲーム機、土地などに投じた会員の金は戻らなくなった。

■警察の摘発から逃れるため?

 数億円に上る巨額の資産やなけなしの老後の蓄えは一瞬で消え、女性たちが警察に相談するなど騒動に発展したという。

 お金の受け皿となったShunkaの関連会社は18年2月、破産手続きに入った。管財人によると、債権額は少なくとも66億円に上る一方、残った現金はわずか18万円。多くの女性たちが途方にくれることになった。

 問題は今も尾を引いている。長野県や静岡県ではShunkaと関わりがあるとみられる人物が、会員に対し、「投資すれば預けたお金が戻る。3カ月で3倍になる」と働きかけて再度、投資させる問題が起きている。

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