「詐欺グループ」はどのようにして、安倍家ゆかりの雑誌とつながりをもったのか。
安倍家と親しい発行人のA氏によると、いまから約4年前、当時ポリスマガジンは、お金のかかる紙の媒体からデジタル媒体へ実質的に移行していたが、制作費用などをまかなうため、紙媒体の出版の権利の売り先を探していたという。
そこに知人の紹介で、ある人物がやってきた。それがShunkaの実質的なスポンサーとみられる男性だった。この男性は「デジタルも紙も権利を買い取りたい」と要望した。だが、A氏は「デジタルの権利は売れない」と断り、紙の雑誌の権利だけを売ったという。ところが、月々200万円の制作費をもらう約束なのに支払いは滞り、A氏はこの男性の関連する企業を相手に訴訟を起こした。
A氏がこう振り返る。
「ポリスマガジンの名前を利用して詐欺師が暗躍するというのはあるかもしれないと思った。やばいなあと思ったが、編集には経費もかかるので売った」
一方、昭恵氏にも「Brilliant」のインタビューを受けたいきさつを聞こうと、電話やメールで連絡をしてみたが、返信などはなかった。
ある警視庁OBはこう指摘する。
「詐欺と疑われかねないカネ集めを警察に摘発されないようにするため、ポリスマガジンの販売などの権利を買い取ろうとしたり、昭恵氏のインタビューを載せたりしたのではないか」
Shunkaを取り巻く人脈はいかがわしい。「会長」と呼ばれた人物はかつて関西で連鎖販売取引を操る二つの会社に役員として関わり、いずれも行政処分を受けていた。
Shunkaのスポンサーとみられる男性に話を聞こうと、男性の事務所にファクスと電話で取材を依頼したが、電話に出た女性は、「こういった取材にはすべてお断りするよう上のほうから言われておりますので」と答え、本人は「出張中」とのこと。
一方、安倍事務所にはファクスで、金銭トラブルの件や、ポリスマガジンとの交流について尋ねたところ、金銭トラブルについては「全く存じあげません」、ポリスマガジンについては「個人、事務所ともにポリスマガジンとは交流はございません」との回答があった。
被害が拡大する前に、本当のポリスには頑張っていただきたい。
(朝日新聞・松田史朗、本誌・亀井洋志)
※週刊朝日 2020年9月25日号