※写真はイメージです (GettyImages)
※写真はイメージです (GettyImages)
グレースビレッジの泡風呂
グレースビレッジの泡風呂
おすすめのケアハウス【東京】 (週刊朝日2020年9月25日号より)
おすすめのケアハウス【東京】 (週刊朝日2020年9月25日号より)
おすすめのケアハウス【埼玉】 (週刊朝日2020年9月25日号より)
おすすめのケアハウス【埼玉】 (週刊朝日2020年9月25日号より)
おすすめのケアハウス【神奈川】 (週刊朝日2020年9月25日号より)
おすすめのケアハウス【神奈川】 (週刊朝日2020年9月25日号より)

 ひとりで寂しいので有料老人ホームに入りたいが、費用が高くて無理──。そんな人におすすめなのは、3食付き個室で7万円~と、年金だけで暮らせるケアハウス。自治体が補助金などを出すので費用は安いが、手厚いサービスがある。ライターの栗原道子氏がその実態を調べた。

【年金で暮らせる!おすすめのケアハウス一覧はこちら】

 神奈川県平塚市にあるケアハウス「サンステージ湘南」。ここでは入居者を孤独にさせない取り組みが行われている。

 施設は小奇麗なホテルのような佇まいで、定員29名。湘南らしく、太陽がそそぎ、海からの風に心地よさを感じることができる環境だ。

 ここでは入居者の活動が活発だ。麻雀クラブや俳句の会などが立ち上がった。隣接の学童保育へ読み聞かせに行っていた人もいる。入居者に聞くと「『こういうことがしたい』と言いやすい雰囲気があるし、それを応援してくれる職員の姿勢があります」と笑顔で答えてくれた。

 施設長の大石みゆきさんは、入居者の孤独を防ぐために「小さな集まりの場を作っている」という。参加者の体力や認知度、趣味などを考慮して、ミニデイサービスのような手作業や編み物、パズルなどの機会を用意する。そのほかにも施設内の機能訓練指導員の指導で週1で体操を行ったり、ヨガの先生の指導もある。ハロウィーンには保育園児が入居者の部屋を訪れるイベントや、年3回はマイクロバスで巣鴨や羽田空港、上野の美術館などへの遠足もある。

 介護サービスなどを提供する特定施設として開設したため、スタッフの数が多くなっている。そのため、スタッフが階段の上り下りに付き合ってくれたり、寝たきりの人にも小まめに話しかけたり笑顔を届けたりと、きめ細やかに対応できている。

 独居老人の数は年々増えており、孤独死や認知症の進行、食事が偏り健康を害すなどの課題も生じている。国立社会保障・人口問題研究所によると、65歳以上の独居老人は今年は702万人、40年には896万人になり、65歳以上のおよそ4人に1人が独居になる。

 こうした中で、ケアハウスの存在感は年々高まっている。自治体が建設費や運営費を補助しており、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅よりも安く、全国で2028施設あり、今後も建設される予定だ。情報を入手するには住みたい自治体のHPを参照してほしい。

「ケアハウスは年金だけでもしっかりとした生活ができ、人との交流も持てるのでおすすめです」

 こう言うのは介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんだ。配偶者を亡くし、生きがいを失ってしまう人もいる。特に男性は落ち込みが強く、生活の質を落としてしまう人が多いようだ。

「ケアハウスは個室なので自由度が高い上、3食付き。バランスの取れた食事も提供されるので安心です」(太田さん)

 孤独は嫌だが、施設の活動にいつも参加するのはしんどいという人もいるだろう。有料老人ホームなどいろいろと探し歩いた末、要介護4の86歳の母を都内の介護型ケアハウスに入居させた女性(51)はこう言う。

「母は人に構ってもらうのが嫌いな性格で、施設で行われる体操などのレクリエーションが苦手。でも今の施設では気分が乗らなければ参加しなくていいことになっている。最近はお祭りでヤキソバづくりに参加して、楽しんでました。一人暮らし時は偏食で体調を崩しましたが、今はすっかり元気になっています」

(取材協力/本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2020年9月25日号より抜粋

著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら